九月の畑

蝦夷男先陣きつて大根まく

ようやく畝の再構築が完了した。

スコップで起こして鍬で細かく砕きレーキで均す。たったこれだけのことだが、すべて人力でやるのはなかなかしんどいものとなっている。堆肥をうめこんだのでしばらく馴染むまで置いてから使う予定である。
最初は大根。これは種をまくだけだから簡単。育てるのも初心者向けである。虫の害にやられるキャベツ、ブロッコリー、白菜は苗の仕上がり待ちだがこれがなかなか難しい。玉ねぎの種まき、ニンニクを植えるのも9月の仕事。
ああ、忙しい。

かきあげる

指棒に猫釘づけの白露かな

今日は白露。

秋分の日の15日前、仲秋のスタートである。
暦通り今朝はこの秋一番の低さでタオルケットをかき上げていたようだ。朝晩の過ごしやすさにようやく秋がきたという実感が湧く。
天気のお姉さんの指し棒に長男猫はメロメロである。

腸の苦みがいい

エスデージーのことはさてをき初秋刀魚

小ぶりだがすこぶる美味しくいただいた。

毎年こんなサイズのばかり獲ってきて、いったいこの先どうなるのかという心配が一瞬脳裏に過ぎるが、ともかくも今年初お目見えの秋刀魚をまえにしてありがたくいただく。
醤油をたらした大根おろしをたっぷりかけた腸の苦みには、思わずこれこれと声が出る。ただ、こぶりだけあって量が少なすぎて一口で終わってしまったのが残念である。

また遭う日まで

紐となり民家へ走る穴惑

大きな蚯蚓かと思った。

足もとを一本の紐のようなものが駆け抜けてゆく。蛇だと判断するのに一瞬の間があった。あっという間のできごとだからつぶさに見たわけではないが、色からしてシマヘビではなさそうだ。田から飛び出してきたことといい、薄茶っぽく40センチ程度とこの季節の大きさからすれば子供のヤマカガシかもしれない。
蛇を見るのは何年ぶりだろう。冬眠にはまだ早く、今年また会えるかもしれない。

ポケットフル

摘んできて二日続きのむかご飯

山芋を育てているから好きにしていいよと声を掛けてもらった。

片手にのる程度の量をいただいてポケットに入れて持ち帰る。
たったそれだけでも二人だけの食卓には十分すぎるほど。結局昨夕と今晩の主食となった。

全容

こもりゐる大工釘打つ秋の雨

決まったように朝7時半に来て、夕方6時20分頃帰る。

隣家の新築工事が着々と進んでいるようだ。今は内部工事だろうか、電動ドリルの唸る音、釘打ちの電動ハンマーの音などが聞こえる。鋸で曳く音、カンナで削る音というのは今では全く聞こえてこない。
同じ頃に近所で棟上げした大手住宅メーカーの工事は早くも足場が取れて完成が間近といったところ。12月竣工予定という隣家では、ひとつひとつ現場で部品を作り上げてゆく昔ながらの工法に近いのだろう。
全容はいまだ足場に覆われたままである。

なびく

放棄地のしばし華なるゑのこ草

借りている区画の隣が草ボウボウ。

主はめったに顔を見せず、いまは夏の草が種をつけはじめた。サツモイモ、里芋も雑草に埋もれてしまいそうだ。
えのころ草は同方向にいっせいに靡き秋を迎えようとしている。