自然循環

口伝てに広がる恐怖穴惑

何気なく触れたビニールマルチにとぐろを巻いていたと。

たしかに私の区画でも今年だけでも二回も蝮の赤ん坊を目撃している。
この情報は昨日から今日にかけて全員に伝わったようで、お互い気をつけようということになった。
急に涼しくなったので暖かいところでおとなしくしていたと思われる。これから気温が下がってくると蝮の行動も緩慢になるだろうことは十分理解できる。
災害は忘れた頃にやって来るという。まむし禍もうっかりしているときに起きるかもしれず、みんなで情報共有することは大事である。田圃に囲まれた菜園は蛙も多く、蛇にとっては餌に困らない天国であろう。イタチもモグラも生息し自然循環が豊富なエリアである。それだけに思いもかけない危険が潜んでいることに留意したいものである。

また遭う日まで

紐となり民家へ走る穴惑

大きな蚯蚓かと思った。

足もとを一本の紐のようなものが駆け抜けてゆく。蛇だと判断するのに一瞬の間があった。あっという間のできごとだからつぶさに見たわけではないが、色からしてシマヘビではなさそうだ。田から飛び出してきたことといい、薄茶っぽく40センチ程度とこの季節の大きさからすれば子供のヤマカガシかもしれない。
蛇を見るのは何年ぶりだろう。冬眠にはまだ早く、今年また会えるかもしれない。

児雷也になりたい

走り根になりきつてをる穴惑

そばへ行くまで気づかなかった。

一本の根のようになって大きな木の下にとどまっておるのだ。
蛇は生来の苦手なので、打つどころか、一目散に迂回の道に逃げ込むしかなかった。