悔恨

通ひ猫律儀にけふの春の雨

弥生は雨で始まった。

ここ二三日暖かい日が続いたので、意外に冷たく感じる春の雨だった。
しかし、雨が苦手なみぃーちゃんにとってはこの程度なら立ち止まってみせる余裕があるらしい。
昨日昼前の話だが、そのみぃーちゃんを目当てに日参していた雄のキジ虎猫が、目の前の道路で車にひかれたとお向かいさんが知らせてきた。
事故の後最後の力を振り絞ってお向かいさんの駐車場までたどりついたが、どうやらそこで力尽きて息を引き取ったようだった。即死である。
奥さんはどうしていいか分からずに助けをもとめてきたので、役場に遺体を引き取ってもらうべく電話すると、民家の敷地では主が袋に入れるなりして手渡さなければならないというルールがあるという。
そこで段ボールを用意してキジ虎君を収容したが、その身体はまだ温かさを残して柔らかかった。しかも、しっかり肥えていて毛艶もいいしどこかでご飯をしいっかり食べている子にみえた。飼い主の知らないところで勝手に処分するのは、どうして消えたのか知るよしもない飼い主の気持ちを考えるとただ申し訳なさに心が痛むのであるがやむをえないことであった。
毎日やって来てはみぃーちゃんにつきまとうのでその都度追っ払っていたが、そのキジ虎君があえない最後をとげたと思うともう少しやさしくしてやるんだったという悔恨になかなか寝つけなかった。
そのみぃーちゃんは知ってか知らずか、今日も雨の中ビニ−ル温室のハウスからでてきて餌を食べている。この春で十歳になるのでいつ何があってもおかしくはないが、交通事故だけには気をつけてと願うのみである。

“悔恨” への2件の返信

  1. キジトラ猫はどこかで飼われていたのでしょうかね。
    時々運転中に猫が飛び出してくることがあります。
    犬はあまりないように思えますが・・・
    ペットとの別れは飼い主にとっては家族同然、悲しいですがhodakaさんのような愛猫家はたとえ飼い主でなくても特別なものがあるでしょう。
    愛犬との別れを二度経験していますがそれぞれの思い出があり当時のことが甦ってきました。

    1. 毎年代わる代わる雄猫がやってきますが、2,3年で代替わりしているように思えます。野良の寿命とも思えますが、このキジ虎君は何年目の春だったか、いずれにしてもまだ若かったように思えます。
      以前から、車の寸前に飛び出す猫を見かけましたので、もしかしたらこの子だったのかもしれません。
      一瞬で命を落とすなどいずれにしても哀れなことです。

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