観測用標準木

寒明や上枝ゆるまぬ標準木

かんあけやほつえゆるまぬひょうじゅんぼく

奈良地方気象台というのは聖武天皇さんの御陵の隣にある。

一条通から緩い坂を登っていった小高い丘の上にあるので見晴らしもよく、盆地のどの山までが確認できるかでその日の見通し度合いを測っていたりもするらしい。
最初、東京の桜の標準木というのは靖国神社にあるのは知っていたので、ここ奈良でも気象台と言うからにはどこかに観測用の標準木があるにちがいないと楽しみにしていたら、なんと門から建物へ向かう急坂のサイドに植えてある樹木がすべて標準木、副標準木だという。しかも標準木の種類というのは桜(染井吉野)だけかと思っていたら,他にもイロハモミジ、ヤマツツジなどなどいろいろあって新鮮な発見だった。

昨日の掲句のコメントに書いた百葉箱の他にも、いろいろ認識をあらたにする話がいっぱい聞けて興味がつきない見学であった。果たしてこのようなハイテク機器を駆使するようなところで句材などがあるのだろうかと不安に思っていたが、先輩諸兄姉はさすがに上手に拾い集めておられて己の未熟さをまたまた自覚するのであった。

“観測用標準木” への4件の返信

  1. う~ん、寒い!!
    名古屋地方気象台、今朝の最低気温マイナス2.8度

    上枝、ほつえと読むのですね。
    仮名がないと前回の孫生えのようになりかねません。
    又一つお勉強しました。

    どこの気象台にも近くに標準木があるようですが桜限定ではないのですね~。

    1. 「秀つ枝」とも書きます。対する語は「下枝(しずえ)」だそうです。
      今や俳句の世界にしか出てこないような言葉がいっぱいあります。検索してみると古典の例で示されることも多いのですが、何はともあれ文字が少なくて済むというメリットを享受したい場合に有効なので使わせてもらいました。文語体使用のメリットの一つでもあります。

      名古屋も寒そうですね。当地も立春過ぎて今年一番の冷え込みだそうです。ただ、いまのところ風が弱くて体感気温はそれほどでもありません。

  2. 「上枝」ほつえ、ですか。格調高いですね。使いこなせるところが立派です。
    標準木のこと勉強させてもらいました。農家は農家でそれぞれの標準木なんか持っていたのでしょうね。

    1. やはり現地に立ってみるものですね。この歳になってもいろいろ知らないこと、意外なものが発見できます。信州の雪形などは農作業の目安とされると聞きますしね、それぞれの道にそれぞれの目安となるようなものがあるのでしょう。

      平安文学、詩歌にお強いキヨノリさんですから、言葉はいっぱいご存じでしょう。私は句集や先輩方の句から学ばせてもらってます。
      今は「古季語と遊ぶ」(宇多喜代子 角川選書)というなかなか面白い本を読んでます。戦前まで行われていたような古い行事や生活習慣、道具などいまのライフスタイルではどんどん忘れられてゆくものを現代の俳人たちがあらたに詠みなおすという試みを書いたものですが、こうした廃れたものでも俳句に詠めるというのは素晴らしいことだと思います。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください