挽歌

通学路拓く予定地犬ふぐり

小さい花が冷たい風に震えて咲いている。

団地住民念願の通学路の工事が始まった。現在指定されている通学路は遠回りのうえ、昔からの農家をぬける道なので狭くて見通しがきかず、父兄にとっては大変心配なことだったろう。
それが、このほどようやく行政の予算がついたようで、来年春の開通を目指してブルドーザーなどが田や畑などを次々と均している。犬ふぐりが群れ咲きしている校舎のそばの空き地も長い間ロープが張られて人の立ち入りが禁止されてきたが、ここも工事予定区間に入っているようでやがて重機が跡形もなく整地してゆくのだろう。

人の踏まぬようなスペースを見つけては自分たちの生きる場としてきたものたちも、やがて蹂躙され姿を消す。人間の近くに生きながら、その人間の都合によって左右されるものたちへささやかな挽歌を捧げたい。

“挽歌” への2件の返信

  1. 便利さと引き換えに自然やら環境やらが傷つけられていく。どちらに傾き過ぎてもダメ、バランスをとっていくしかないんでしょうね。犬ふぐりも踏まれても掘り起こされてもまた別天地を探して花開けるのでしょう。

    1. 人に踏まれない場所を選んで群れをなす。無機的なものが増えれば増えるほど生きにくい生物ですので、代替地に自分の足で移動できればいいんですがね。

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