恋猫の深傷舐めてこともなげ
恋猫の傷に見合ひしもの得しや
恋猫の深手と見ゆる傷なめる
恋猫の傷の意外に深手なる
恋猫の深手ものかは出撃す
季題は「恋の猫」。
「恋猫」は傍題であるが、「うかれ猫」「春の猫」「孕猫」「猫の恋」「猫の妻」など他にも多い。
今でこそ野良猫や放し飼いの猫は嫌われるが、かつてはどこの町にもいて春や秋ともなると悩ましい鳴き声や争いの声に眠りを妨げられたものである。
なかには深手ものかは傷を丹念に舐めてはまた伴侶を求めて彷徨するものもいて、なんとなくライオンの雄とおなじく哀愁を帯びた野生を感じたものである。
昔普段おとなしいトラ猫を飼っていたことがある。彼がある日突然姿をくらまし、家族をずいぶん心配させたが3,4日して憔悴しきった姿でもどってきたことがあった。その後去勢手術を施したのだが、さて彼の恋は成就したのかどうかそれは分からないが、一度きりの青春であったことは間違いない。
梅の咲くころは猫の恋の季節ですか。
同じネコ科のライオンとは似通ったところがあるのですね。
昔、我が家の犬も夜中に行方をくらまし明け方雌犬同伴で帰ってきたことがありました。
表紙絵の紅梅素敵ですね。癒されます。
部屋に活けた白梅が毎日一輪、一輪と花を開かせます。
とても楽しみです。
猫は多産で発情期は年に4回もあるそうです。ですが、俳句としては春の季語。万物目覚める季節のものとしたんでしょう。
犬が伴侶を連れて帰ってきたとは面白いですね。お相手もどこかのお嬢さんだったのでしょうか。
今日曇り空だったんですが、馬見丘陵公園の梅園で撮ってきました。加工すれば多少は明るくなったんですが、これはこれでいいでしょう。
毎日異なった季語を提供いただいて勉強になります。都度歳時記を広げ例句を見るよう努めています。恋猫は生々しい季語ですね。やはりすらりと詠んで読者の読み方に任せるのがいいのでしょうね。
第一句は主観が入っていてどうかなという句ですが、二番目はこんなこともあろうかという情景を詠んだもので、こんな句をいくつも詠みながらお気に入りの措辞が浮かぶのを待つのがいいんじゃないでしょうか。三番目は動詞を避ける試みです。
キヨノリさんも最近はずいぶんいい句の確率が上がってきて、勉強されてるのが分かりますよ。ぜひ続けてください。