あだ花

ニュータウン輝き褪せて桜老ゆ

戦後いっせいに植えられた各地の桜が衰えを見せているという。

なかには伐採して若い木に植え替える計画もあると聞く。そのほとんどは一代限りの染井吉野だが、実際に衰えたさまを目の当たりにすると、人工的に作られたものってほんとうに弱いものだと思う。
この春、有名国立大学のある駅前の桜通りが全国的に知られる東京郊外の街にたまたま行く機会があり、しかもその日が東京の満開日というだけあって広い駅前通りのそぞろ歩きを多くの人が楽しんでいる光景を目にした。つられて車も大変な渋滞で車内からも桜をゆっくり楽しめたが、10年ほど前に見た光景とは何処か様子が違うような気がしてきた。はたと気がついたのが、木の様子である。盛りの頃には元気な枝を縦横に延ばしていたのが、今ではそのようなボリューム感がない。すっかり枝も衰えてやせ細っているようにも見える。幹がりゅうりゅうとした瘤を見せている一方で、もはやその太さに見合った枝振りではないのだ。

おなじようなシーンは、やはり田園都市線沿いの高級住宅街で10年ほど前にも見られた。
街の高齢化を象徴するように、桜通りの輝きが失われてゆく。
やはり染井吉野という桜は、人のそばでないと生きられないあだ花でもあるのだ。

“あだ花” への2件の返信

  1. おっしゃる通りです。いいご意見聞かせていただきました。
    昭和90年、戦後70年、高度成長の昭和40年から50年の今年、日本は方々老齢化してますね。高齢社会もそうですがビルも道路も各種インフラも。そして桜並木もですね。先日神田川沿いの桜見に行きましたが見事でした。でも10年後はどうなってるのだろうと心配になりました。

    1. 今は盛りでも、いつかは衰えるときがくる。そのときに備えておかないと、つけが一遍に廻ってきます。基礎体力がないと荒廃一途をたどる。そんないやな予感がしてならないんですが、自分にはもう何もできないと思うのもまた辛いところです。

キヨノリ へ返信する コメントをキャンセル

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

This site uses Akismet to reduce spam. Learn how your comment data is processed.