歌枕

多武峰見上ぐる丘の捩り花

飛鳥万葉文化館の庭園がきれいに整備されて季節の草花が咲いている。

半月ほど前に訪れた時、万葉の径の芝生に点々と捩り花が咲いていた。
それぞれ万葉に歌われた植物に即して萬葉歌が紹介され、捩り花の芝生の斜面の樫の木には、

片岡のこの向つ峰に椎蒔かば今年の夏の蔭にならむか 巻7-1099

芝生はちょうど斜面になっていたので、片方しかない丘、片岡はここかと勘違いして向かいの峰、すなわち多武峰を振り返って妙に感じ入っていたのであるが、まったくの勘違い。
「片岡」は歌枕なのだった。自宅より少し南に少し行ったところにあるあたりらしいが詳らかではない。

“歌枕” への2件の返信

  1. 多武峰見上ぐる丘の捩り花

    ほだかさんは 忘れた頃に”多武峰”を出してきますね。
    多武峰って十三重の塔で知られた談山神社ぐらいが目立ちますが、位置的には飛鳥と柳生の狭間にある、イメージ的に、忘れられた地域(じゃないかと 京都人の小生は 勝手に思い込んでいます)。そこに、これも どちらかと言えば ”ショボイ”捩り花を 添えるなんて・・・・・。
    妙に、気になる句です。 

    1. 柳生というとこれはずっと遠く離れた奈良の東山中北部をさします。
      多武峰はもっと狭くて飛鳥後背の山、ご指摘の談山神社につづく峰のことです。
      多武峰を降りてくると、古代からの集落が点々とあって、ここもまた古い歴史を誇ったり、古い信仰を守り続けてきた誇りに生きているようなところです。
      飛鳥に立てば否が応でも目に入る山なので、私にとっては作句のホームグラウンドのようなものかも。

      夕されば小倉の山に鳴く鹿は今夜は鳴かず寝ねにけらしも 巻8-1511 舒明天皇

      この小椋というのはこの多武峰の北の端っこ、聖林寺の裏に広がる一帯をさすともいわれています。
      天皇陵のある忍阪もこの近くで、説得力ある説だと思ってます。

      捩り花。別名文字摺草。
      しのぶ文字摺誰ゆえに。。。
      身をよじるほど。。。。何とも艶っぽいじゃありませんか。

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