背に聞いて

雨蛙泣きて一山雲の急

急に鳴き交わしが始まった。

断続的な小糠雨に一日つづいたが、蛙のほうは喜んでいるのかそうでないのかよく知らないがときどき存在を知らせるように啼いている。
信貴山のなだらかな麓を細くて深く切れ込んだ流れが落ちてゆく。このところの雨で水量も多く水音も高くなっているが、蛙たちの声がそうした切れ込んだ谷間に響き合うように大きく聞こえるのである。
土に向かいながら、晴れれば鶯、雨もよいの日には蛙の声を背に土と向かいあう時間が豊かに流れてゆく。

“背に聞いて” への2件の返信

  1. 蛙の鳴き声を聞かなくなって久しい。
    明日は田舎へ行く予定にしているが本来ならば今の季節、蛍が飛び交う頃である。
    明日は日帰り予定なのでそれはかなわないがどんな風景に出会えるか楽しみである。
    転じて当地、今朝は異様なカラスの鳴き声がうるさいぐらいでなんか不吉なことを予想するような鳴き方であった。
    何事も無ければいいのですが・・・

    1. そういえば蛍はしばらく見てませんね。この近くでは平群、あるいは斑鳩の里で見ることができます。というか、平群のは未確認ですが。斑鳩のは平家ボタルで、それこそ幽けき光に声を出すことも憚れるほどです。このあたり句に詠めそうですね。

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