泥浴ぶる妻をいたはり田草取
いまどき珍しい光景かもしれない。
農薬によって昔に比べたら田の雑草を取る苦労がかなり緩和されていると聞いたが、ここ無農薬で頑張っている田では一回目の田草取りが行われていた。
二株ほどを束ねた苗もその三倍ほどに増えて(これを分けつという)、まだしばらくは増え続け、五六倍ほどになったらいよいよ出穂の時期を迎える。背はまだ苗の頃と変わらないがこれから一気に背が伸びて植田から青田に変化するときでもある。
機械が使えるようになったので昔のように一日中腰を曲げる必要もなくなったが、それでも苗の間の泥に足を取られながらくまなく歩くので大変な作業に違いない。
二回目は果たしていつ頃になるのだろうか。
昔、こどものころ母が田んぼに這いつくばって他の草取りをしていたのを思い出します。
あれは重労働、子供心にもあんなことはやりたくないと思ったものだ。
母が可哀そうでならなかった。
今の農業はあのころと比べ何もかも機械化されたとはいえ大変なことには変わりない。
それこそ昔は三回くらい草取りをしていたそうです。重労働だからこそ今にも季語として残されていると言えます。
手動でからから回しながら取ったり、エンジン付きの草取り機もあったり、立ち仕事にこそなりましたが大変な労働にはちがいありません。