急磴を果たし沖なる夏の潮
中上健次の小説の舞台の神社である。
新宮市神倉神社。ここのご神体は急な石段を538段登ったところにある大きな岩である。縄文・弥生時代から信仰の対象とされてきたという原始磐座への典型であるが、ここのすごいのは小説にも出てくる松明をもって石段を駆け下りる火まつりの、あの急でしかも乱積みに等しい足場の悪い石段である。
登ってみれば新宮の市街や沖の黒潮が流れる熊野灘が一望できる素晴らしいところなのだが、その登攀中ではとてもそんな景色を楽しんでいる余裕はない。まるで石段にしがみつくようにしてようやく到達できるわけだが、今の時期汗を人一倍かいた後眺める沖の黒々とした潮には遙かな思いをめぐらすこともできるのである。
和歌県新宮と三重県熊野は中上健次にとって切っても切れない土地ですね。
山を歩いていると山は美しすぎる。山の突出した岩肌はごつごつし、どんなマスラヲも耐えられなくなる。人の力などしれたものだ、そう思う。中上健次「紀州 木の国・根の国物語」
熊野古道が世界遺産に登録されて7日で丁度10年。
三重県では6月から11月にかけて宇治橋内宮~熊野速玉大社の172キロを全14回に分けて踏破ウオーキングが開催されます。
私も一コース(12キロ)を歩きます。
中上をよく読んでられますね。僕も気に入った作家があると全部読んで見たくなるタイプで、一時期読み漁りました。僕のイメージする紀州人の気質がよく書かれていて驚いたものです。
この方面はお伊勢さんまでは行ったのですが、熊野や那智方面には行ったことがありません。
見所が沢山あって、行ってみたいのですがね…。
自然豊かで、日本神話にかかわりの深い見所が沢山あっていいところですね。
和歌山といえば、粘菌学者南方熊楠をすぐに思い浮かべます。
名前もさることながら、取り組んだ中身がすごいよね。
変人だったようだけど、まさにミクロの世界の粘菌を根気強く研究し続けた努力には敬服します。
自然に恵まれた地方に生まれ、一般の人が目を向けないその自然に目を付けたところが素晴らしいよね。
熊野古道が世界遺産に指定されてから今年で10年だそうです。
日本人の精神構造のルーツともいえる場所ですから、訪ねてみる価値はあると思います。首都圏からですと最低でも2泊3日の日程が必要ですから大変ですが、いかがですか。