白南風の大台ヶ原霧消せる
黒南風の荒れて休漁熊野灘
黒南風の荒れて休漁ぜひもなく
黒南風の大台ヶ原吹き上ぐる
黒南風の湿りに霊気はらみゐて
黒南風の修験者まろぶ峰を吹く
黒南風の南都の領巾を重たうす
黒南風や御紋の領巾の打ち返り
黒南風の浜吹きたらず峡渡るく
黒南風は梅雨のうち吹く南風を言う。
この風が吹く頃空が暗くなるところから名づけられた。
対して、梅雨が明ける頃南風が吹いて空が明るくなるのを白南風と呼ぶ。
少々理屈っぽくはあるが、言われてみるとなるほどそうかもしれないと思えてくる。
周りを山に囲まれたヤマト、とりわけ南には熊野・大峯の重畳たる峰みねがつづく。
これら険しい峰を吹き越えてくる風にはどこか山の霊気が漂う。
「南風」で「はえ」。知識としては知ってるのですが実感はあまりありません。「東風」は道真で有名なので春になるとピンと来るのですが。「南風」を詠んだ有名和歌・俳句ってあるのでしょうか。
歌はよく知りませんが、俳句では芭蕉に、
「南」は漁師や船乗り言葉で南風を意味するようです。
想像たくまくして詠みたい季題ですね。
「南風」で調べると大家の句で、
家族愛の句をよくした草田男には「吾子」がつきものみたいですね。
これは「万緑」を季語として認めさせた有名な句です。