秘伝のたれ

鰻屋の垂れを練るとて人寄せず
一徹の鰻の垂れを練りにけり
相伝の鰻の垂れも三代目
鰻の暖簾垂れを守継ぎ三代目

たいそう繁盛しているのに支店を出さない鰻屋がある。

なんでも「垂れ」の調合は一子相伝の秘伝らしく長男にしか受け継がれないため、兄弟や姉妹がたくさんいても暖簾分けをしないのだと言う。
おかげで店は厨房、フロア、通信販売、会計それぞれ兄弟や親戚一同の力で支えられ、結束力も高そうだ。

ただ、ここ数年の「垂れ」はやや濃いように感じて仕方がない。最初は夏だから塩分を濃いめにしているのだろうと思ったが、その後も同様なのでもしかしたら代替わりによって微妙に変化しているとしたら心配だ。
それとも、減塩食に馴染んだ舌のせいで、外で食べるものを濃く感じてしまうだけなのかもしれない。

“秘伝のたれ” への4件の返信

  1. 秘伝とはそういうものなんでしょうね。拘り・一徹、そういうのもあっていいんでしょう。余り商売にはならないでしょうが。

    味を濃く感じるのは薄味になれたせいだと思いますよ。私も最近外で何を食べても濃すぎると感じます。丼物やラーメンなどよく食べてたものと思います(昼食のそれが楽しみだったのですがね)。

    1. 「一徹」。いいですね。これをいただいた句の方が締まりました。最初のは説明的でアウトでした。
      この感性はキヨノリさん独特のものですから、さらにいい句が生まれると思いますよ。

      最近の我が家は極端な薄味に。ちょっとクレームを入れてせめて味噌の味を楽しめるようにしてもらいました。

  2. 東京下町の味付けは濃いですね。甘じょっぱい味というのでしょうかね。 おそらく、これが江戸っ子の味なんだろうな、と思って食べています。 料理上手の友がいて、彼女の味付けがそうです。
    西と東では好みも随分違いますね。 最近は健康志向で少しは変わってきているようですが・・
    私は薄味なので、東京より東(北)出身者に手料理を出すときは、常より濃いめの味にするよう心懸けています。それでも物足りなそうな印象を受けます。 習慣の差ですよねえ。

    1. さぞ心づくしの料理を出されるのでしょうね。
      「お袋の味」というように、小さい頃から身についた味覚はそう簡単には忘れませんよね。
      西でもうどんのつゆなどは見た目よりずっと塩辛く感じて驚くことがあります。舌が飼い慣らされたんでしょう、きっと。

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