閻魔堂特別開扉

閻王や絵解の刀自の比丘尼めき

今月限りの特別開帳の閻魔堂では五分ほどの解説がついた。

お賽銭を投げる間もないほど、立て板に水のごとく老婆の解説が始まったかと思うとこれがなかなか終わらない。平板なトーンのせいか、中身にもなかなかついて行けずじまいのありさまで、とうとう後半はほとんどの話が空の上へ飛んで行く。
もう少しじっくりと閻魔さんを拝見したかったところ、早々と退散することにした。

かつてこの国には「絵解比丘尼」という尼僧がいて、熊野勧進のため地獄・極楽など六道の絵解きをしながら歌や物乞いをして諸国を歩いたそうである。これが、のちには遊女同然となり売色を業とするようになったとも。閻魔堂の絵解き刀自にはそのような妖艶な趣はなく、むしろ能面のように無表情だったが、長くこの閻魔堂をお守りしてきた年輪の趣だけははっきりと感じ取れるのであった。

“閻魔堂特別開扉” への2件の返信

  1. 予習をして吟行に臨み実際に見て色々話を聞く。知見が益々広がって行きますね。

    「絵解比丘尼」地獄や極楽の絵を見せながら話を語って聞かせ何がしかの対価をもらう。まあ紙芝居屋さんみたいなものでしょうか。何もなかった時代、生々しい絵は人々にインパクトを与えたことでしょう。

    1. いやあ、特別予習はしないんですが、どちらかといえば、帰ってから気になることなどを調べます。今回も吟行時には思いつかなくて、その後「刀自」「絵解」「比丘尼」という断片が浮かんだので、調べたら「絵解比丘尼」という歴史を知ることができました。

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