日常

あひたがひ葱引きにきて御慶述ぶ

能登の地震をおいといて、身の回りはまずは平穏な正月。

犬連れの長女一家が朝早くに発って、猫どももいくらか平穏を取り戻したようである。
今日は昨日帰省した下の子とすき焼きをしようとなったが、全部長女に持たせたので葱がない。ということで畑へ向かったら、やはり同じように葱を引きにきている仲間と鉢合わせ。
たちまち日常に戻ろうとする正月となった。

先客

変声期越えてそつなき御慶かな

年があらたまってやうやく穏やかな日に恵まれた。

空青く風もなく少し歩けば汗ばむほどで菜園にまで足を延ばせば先客がいるようだ。
シェア畑の仲間であり、年齢も近く、おたがいの作物の物々交換したり気のおけない人たちばかりである。
今年最初の顔合わせでどちらともなく歩み寄って年頭の挨拶を交わす。
今日はさっそく立派な青首大根をいただいた。
やはりおでんかな。

氷面鏡

神鹿に御慶述べゆく句友かな

吟行句会でよくお世話になる奈良公園。

この日は放射冷却の厳しい朝だったが昼間は晴天、しかも風もほとんどないという絶好の吟行日和。霜解けの公園内のかしこで鹿が日向ぼっこしている。出会う鹿を見つけては「おめでとう」と声をかける仲間もいて、約1万歩の吟行も無事に完了。

それにしてもベテランの方々の言葉をよくご存じであること。この日は大仏殿東にある池も凍っていて、日の射している部分は解けているのだが、大きな杉の木の影になっている部分は凍ったままだ。この景をなんとかものにしたいと粘ってみるが、時間切れ。
披講となって、同じ光景を詠んだと思われる句が読み上げられてハッとさせられた。

大杉の陰に残りし氷面鏡

なるほどなあ、と眼から鱗の思いであった。