類句大量生産

出稼ぎの夫に代わりて冬田打つ
出稼ぎの列車貫き大冬田
出稼ぎの駅へ途中の冬田かな
整然と電柱影引き大冬田
石積の崩れてありぬ冬棚田
冬棚田巻いて葛城古道かな
杭跡の湿り残れる冬田かな

兼題句である。

米どころの田、兼業農家の田、三ちゃん農家の田、峡の田、それぞれ場面は考えられる。
大きく詠んだり、微細な点を詠んだり、見慣れた景色だからいろいろな句が生まれておかしくはないだろう。
ところが、いざやってみるとなかなか難しい。
締め切りまで数日あるから、もっと数詠まなくちゃ。

野鳥の警告

水湛へ餌場となせる冬田かな

「冬期湛水」という。

冬から春にかけて田に水をはっておき、雑草を抑えたり、稲藁などを使った肥料、堆肥効果が期待でき、また春耕の手間を軽減するなどが期待できる。
水を張ったままの田を「冬水田んぼ」といい、開発によって失われた湿原の代替として渡り鳥などの餌場とする運動も行われている。
この農法を積極的に展開している例として、近畿では福井県若狭町の冬水田んぼ農法などがあるようだ。

昔から雁は「かりがね」とも呼ばれ、各地に飛来しては人々にも馴染みが深く和歌にも多く詠まれてきた。ところが、明治維新後、乱獲や経済活動の拡大による開発によって絶滅寸前にまで追い詰められ、今また地球温暖化によって生息環境も脅威にさらされようとしている。
雁が見られるのは北日本を除けば日本海側に多く、温暖化で中継地、越冬地とも北限が上がっているとも聞く。ただでさえ観察する機会が少ないのに、生息地がピンチとなれば淋しい話だ。