華やぐ

初花にさばしる水の速さかな

長雨に川は増水している。

信貴山から落ちる沢もいちだんと音を高くして驚かされる。
今日は黄砂が心配される予報だったが、久しぶりの好天に誘われて町歩きを楽しんだ。
どうやら当地では開花したようで、これから十日間ほどは各地から賑やかな花便りが聞かれるはずである。
今夜はタイミングよくNHKBS放送で京都・滋賀・奈良の源氏物語ゆかりの寺社などの桜をライブで紹介する番組もあり、いよいよ一年でもっとも華やぐ季節が始まるというわけだ。

見かける

初花の車窓となれる赴任かな
出張の車窓過ぎりし初桜

務めているときは桜をじっくり眺める時間はなかなかとれないものだ。

いきおい、仕事後に連れだって夜桜見物に出かけたり、休日に家族と楽しんだりするのが中心となる。
それ以外は、通勤途中や勤務時間中、あるいは掲句のように外出時に、「見かける」のが関の山だろう。
また、休みに桜の計画をたてていても、思うとおりに咲いてくれないこともあるし、あいにくの天気で気勢がそがれてしまったり、とかく自然相手はままならない。
ただ、どんなときであれ、その年初めて「見かける」花は特別である。ニュースなどで各地の花便りは盛んに耳にするが、やはりこの目で見る桜、ことに初桜ならばなおのこと、浮き立つ心が増してくるというものだ。