虫出

照らすなく逝ける初雷なりしかな

今日は雨で終日家にいた。

窓を閉め切っているので、大きな音では聞こえなかったが、たしかに一回だけ雷が鳴った。
いかにもこの時期らしく、昼日中でもあるし、光って教えるということもなく、まるで試運転でもしているかのような、控えめな雷さまである。
歳時記によると、立春から初めての雷を言い,だいたい桃の節句頃、啓蟄の頃だということから別名「虫出」とも言うそうである。ま、今年は平年並みと言うことか。暑さ寒さも平年並みにしてもらいたいものであるが、さてどんなものか。

耳をそばだてる

初雷の容易に去らぬ寝端かな

昨夜激しい雷雨があった。

春とは思えない凄まじい雷で、しかも長々と続く。すっかり寝端をくじかれた形だ。
歳時記によると、「初雷」とは立春のあと最初の雷をいうが、さらに「春雷」が別項にたてられていて「一つ二つ鳴って、それきり止んだりするのも春雷らしい」と解説にある。そういう定義からすると、さしずめ昨夜のは春のものとはかけ離れた季節外れの様相を帯びていて、異常気象の一環なのではないかとさえ思えてくる。

あまり長く続くものだから、家の猫どもも耳をたてて全注意を注いでいるかのようだった。

優しい雷

一度だけ鳴って終はんぬ初雷

閃光がしてあたりが一瞬明るくなった。

思わず家人と顔を合わせたら、続いてどんと雷鳴がする。家人はいそいで洗濯物の取り込みにかかったが、まさにその直後雨がバラバラっと降り出したので家人の判断は正しかった。10分ほど降り続いてやがて雨はやんだ。

春の雷の中でも「初雷」というのは立春の後最初になる雷を指すらしい。今日のは文字通り初雷だったのだが、春の雷というのは夏の激しいのと比べると随分優しいのかもしれない。