鎌倉街道

十六夜や大河ドラマの佳境なる

昇りはじめだろうか、黄色がかっている。

今日は35度を超す猛暑日で、その余波をとどめてとても澄んだ空気とは言えないようだ。
昨日は見逃したので外へ出てみたが、蒸し暑さにすぐに引っ込んでしまった。
NHK「鎌倉殿の十三人」は後半に入ってバトルロワイヤルと化してきて、いよいよ細川討ちにさしかかってきた。
かつて住んでいた所は相模・武蔵の境にあり、幾筋もの鎌倉道が走っていた。ごく近くには新田義貞の鞍掛松伝説の場所もあり、まさに「いざ鎌倉」の往還道が珍しくないところである。
重忠は鎌倉へ謀略によって呼び出され、鎌倉街道途上の相鉄・鶴ヶ峰付近で待ち伏せされ討たれたとある。
次の山は時政追放、実朝暗殺、承久の乱、いよいよクライマックスである。

色失えど金は金

十六夜の坂の下なる大仏殿

寧楽坂を降りてくると真っ先に大仏殿の大屋根が目に飛び込む。

深い松林のなかに、屋根の部分だけがぽっかり浮かぶように見えるのだ。
三笠山、春日山の影にあるから、十六夜の月が顔を出すのはさらに遅れて、その月が東大寺を照らす自分はそれなりの高きにあって、東大寺の地苑をいやが応にも明るく照らす。
銀色にかがやく大屋根の鴟尾も色こそ失えど輝きは銀に蒔けない。
昨日は無月だったので、今夜こそじっくり眺めてみたいものだ。

旅愁

外つ国のいざよふ月を待ちわぶる

旅をしてなかなか暮れないことに驚くことがある。

サマータイムだからよけいに夜の時間が長く感じるのだろうか。
長い旅行ですっかり忘れていたが、昨日は仲秋の十五夜だったと聞くと今夜はぜひ十六夜の月を見たくなった。
そこで、アスパラガスを肴にワインを傾けながら、テラスでたっぷりと時間を過ごすのだ。
すると、ビルの間から月が顔出す頃には今日で最後になる旅をあと一日延ばしたくなるのかもしれない。

落ち着いた夜

十六夜や司馬遼太郎に栞かな

最近は司馬ものを続けて読んでいる。
ひと頃より夜は随分しのぎやすくなっているので、テレビを消して静かに本を開くのもいいものだ。
ただ、昨日の十五夜を見逃しているので、今宵は本を置いて外に出てみた。