中干し

噴水の及ばぬところ雲のあり

こう暑いと水が恋しい。

加えて風があればいい。
とくると滝壷や、噴水の飛沫を浴びられるそばがいい。
と言って近場にそんないいところがあるじゃなし。
水と言えば、菜園の周囲の圃場はどうやら中干しの時期に入ったらしい。いつもの日曜なら溜池から水が配られるのだが、今日は当てが外れたので家からポリタンクでせっせと汗をかいた。

行基さん

御像の噴水に立ち托鉢す

近鉄奈良駅頭の行基菩薩像の噴水である。

近鉄奈良駅頭の行基菩薩像噴水

行基さんは広く民衆に仏の教えを説いたり、社会慈善事業などをおこなったほか、東大寺大仏建立の責任者として広く慕われていて、呼び捨てにするのは地元の人ではないと言われるほどの人気である。行基さんの視線に先にあるのは大仏殿。今も見守っていられるというわけだ。
この噴水像は待ち合わせには格好のポイントで、吟行時にもよく利用させていただいている。
ささゆり祭の前日、大神神社豊年講の皆さんによる奉献行列も途中ここで一服を入れておられた。

豊年講によるささゆり奉献行列

また、地元小学校の4年生くらいの一団も来て、先生から行基さんの解説を受けたあとしばらくは写生の時間のようだ。ここでも無論「さん」づけで呼ぶように先生が教えているのが印象的だった。

様々な国からさまざまな人たちがここを通るが、この日は噴水を背にして托鉢に立つ僧がいた。ときどき片足重心になったりして長時間の托鉢に耐えておられる。通りがかった人もお布施して、そのあと行基さんに向かって深々とおまいりするごく自然な姿を見るとどうやら地元の人であろうか。