剪り花

長雨のつぼみに重き四葩かな

五月に梅雨入りするのは十年ぶりらしい。

ということは以前にもあったということで、梅雨入りは六月という既成概念がこの十年で打ち砕かれた感じがする。もしかすれば例外的に早い梅雨入りというのが遡ればあるかもしれないが。
この週間予報では梅雨の前触れ程度にしか考えてなかったので、いきなりの宣言には正直参ったなあというところである。
梅雨の準備も整わぬうちにこれから二月ほどムシムシジメジメとした日々が続くかと思うと憂鬱になるが、いっぽうで雨を滋養とする紫陽花などの草花などが暗い庭の片隅に彩りを添えてくれるのであるから、それはそれでいいものではあるが。
その紫陽花もいまだつぼみで、開くにはいま少し時間がありそうである。今年は順調につぼみを着けているようだから剪り花にしてもいいかもしれない。

雨上がりの朝

さきがけの四葩供花とし剪りにけり

紫陽花の蕾が色づきはじめた。

花の成長が早くすぐに花片をこぼしてしまうので、仏壇に供えるには咲ききるまえのむしろ蕾のもののほうがよい。
冬の間にかなり枝透きしたので、今年は形もよさそうだ。
雨があがった朝、さっそく鋏を手に庭に降りた。

水あげよく

仏壇に移ろひゆける四葩かな
三日目の四葩盛りの仏間かな

仏様に供えている紫陽花が盛りを過ぎたようである。

仏壇の扉を開けた途端にぱらぱらと散る。
供花にするに当たって葉っぱは半分ほどに間引いたのだが、それでもぐんぐんと水を吸い上げ、花もどんどん開いてゆく。
今のは桃色の株だから、明日は青の元気なものに替えてやろうと思う。

UVに注意

大鞠の項垂る午後の四葩かな

梅雨晴れ間の日差しの強いこと。

六月ってこんなに日差し強かったかなあと訝いたくなるような紫外線である。
これでは動物はおろか植物だってつらいだろう。
げんに、紫陽花などは水揚げが間に合わないせいだろうか、葉も花もしんなりしょげかえっている。

夕方になるとまたいつもの姿に戻るので、項垂れているからといって慌てて水やりすることはないのだが。