指を染める

土筆野やミレーの農婦見るごとく

まだだった。

これで都合二回も空振りだ。
去年から目をつけておいたところはヨモギや茅の芽もまばらに、土筆に至っては全然顔を出してないのだった。
ゆえに、掲句はフィクションの世界である。
ただ、もしも期待通り生えてればそれこそ取り放題と言っていいくらいわさわさと顔を出すはずで、それこそつくしを摘む様は遠くから見ればまるで落ち穂拾いの絵をみるように採っても採っても尽きず、どんどんつぎ前に進んで行くようになるのではあるまいか。
明日からは弥生三月。
土筆の花粉で指が緑色に染まるのも近いだろう。