品種改良

夏蜜柑ときに妥協の甘さかな

最近の柑橘類は甘い。

とくに感じるのが、八朔、夏蜜柑の類いである。
両者とも酸っぱさからは免れなかったのが特徴で、子供の頃はあまり好きではなくそれが大人になっても手を出しそびれる要因にもなっていた。
ところが、ここ何年か知人の手になる八朔、夏蜜柑をいただいて、それまでの固定観念ががらりと打ち破られたのである。
上品な酸っぱさは残したままでいて、甘くてうまさがあり食べやすい。
とくに夏蜜柑などはただ酸っぱさが舌を刺激していたのが嘘のように、まるまる一個をぺろりといただけるほどうまい。これは、きっと海外のオレンジや国内のさまざまな甘い柑橘に負けまいと、関係者が長年品種改良に取り組んできた成果ではないかと思うのだがどうだろうか。夏蜜柑は酸っぱいものだと突っ張ってばかりいては生き残れないと、自ら折れたのかもしれない。
午後のデザートに、ソフトボールほどの大きさの夏蜜柑を一個ずついただく毎日である。

名前を変えて

悪童を泣かせ上手の夏蜜柑
夏蜜柑昔話に花が咲き
夏蜜柑手替へ品かへ名前替え
夏蜜柑新顔名ほど甘くなし
甘きもの飽きてしまうて夏蜜柑

最近はいろんな品種が開発されているようだ。

この春頂き物の八朔にしても昔のあの酸っぱさはずいぶん改善されていて、まるまる一個ぺろりといただけるほどである。
夏蜜柑もさすがに昔のごつごつした、いかにも強面のものは姿を消し、若干名前を変えて新商品が出回っている。
春の頂き物以来、その意外なほどのおいしさにいろいろ手を出しているが、皮を剥くだけで唾がでるというのは昔のこととなったような気がする。
春先に出回る甘い柑橘類は期間が短いが、夏蜜柑の類いは長く、それだけ長く楽しめるのがいい。