鬼は内

石塔の影整然と日脚伸ぶ

元興寺には「浮図田」と呼ばれる石仏群がある。

整列した石仏の間に落ちる影もまた整然とくっきりと、光も力を増してきたようである。
全部で千基ほどはあろうか、その間を巡る間にも、ところどころに、石仏に寄り添うように万両が紅い実を見せたり、紅や白、絞りの寒椿が影をつくったり、落椿に埋もれるようなところもある。
一つ一つ表情が違っていて、時間をかけて廻っても見飽きない趣があった。

お地蔵と背比べもし実万両
小仏にお手玉しんじよ実万両

豆撒の舞台験む頭かな
節分の設へ幕を残すのみ
幔幕を張つて節分舞台成る

この寺には「元興神(がごぜ)」と呼ばれる鬼が守っていると伝えられ、豆撒きのかけ声は「鬼は内」。吉野の金峯山寺も同じように「鬼は内」、大神神社はご神体が山であることから「鬼は山」というとか。

参考)元興寺節分柴燈護摩会のページ