朝の和食

黄味割いて醤油乗せたり寒卵

この時期の卵には滋養があるという。

日本人にとって昔から卵は貴重な栄養源で、生のものをいただくことが命をいただくことだとされてきた。
ところが、今でこそ卵は物価の優等生と言われて1個10円足らずで得られるが、我々世代にとっては農家でない限り卵は滅多に手に入らない高価なものであった。記憶では運動会とか遠足の弁当でしかお目にかかれなかったような気がする。
かといって、手軽に手に入るようになった今でも、熱々のご飯にかける卵ご飯というのは最近はあまり食わないようだ。なぜなら、卵かけご飯というのは味噌汁といっしょにいただく朝のものであるという感覚から抜け出せないので、パンと珈琲が定着した朝食のテーブルには卵かけご飯の出番がないからである。
もし食べるとすれば、それは温泉旅館などで出される朝食くらいであろう。しかも、不思議なことに普段食わない朝の和食も旅先ではすこぶる量がいただける。卵の他にうまい魚の干物があればそれはまた最高である。

滋養に富む

寒卵は貴重なものと教へらる

七十二候では今月30日から2月3日を「鶏始乳」(にわとりとやにつく)といい、鶏が卵を産み始める頃だという。

朝そんな話を妻としていたら、昔飼ってた鶏の話になって、やはり鶏は冬は卵を産まないものだという。知らなかったので調べてみると、寒中に産んだ卵は滋養に富む、またその年はお金に困らないとか大変縁起がいいらしい。とくに大寒の日に産んだ卵は「大寒卵」と言われて珍重されるらしい。
そう言えば昨日のすき焼き用卵はなかなか卵黄がしっかりしていたような。