黄味割いて醤油乗せたり寒卵
この時期の卵には滋養があるという。
日本人にとって昔から卵は貴重な栄養源で、生のものをいただくことが命をいただくことだとされてきた。
ところが、今でこそ卵は物価の優等生と言われて1個10円足らずで得られるが、我々世代にとっては農家でない限り卵は滅多に手に入らない高価なものであった。記憶では運動会とか遠足の弁当でしかお目にかかれなかったような気がする。
かといって、手軽に手に入るようになった今でも、熱々のご飯にかける卵ご飯というのは最近はあまり食わないようだ。なぜなら、卵かけご飯というのは味噌汁といっしょにいただく朝のものであるという感覚から抜け出せないので、パンと珈琲が定着した朝食のテーブルには卵かけご飯の出番がないからである。
もし食べるとすれば、それは温泉旅館などで出される朝食くらいであろう。しかも、不思議なことに普段食わない朝の和食も旅先ではすこぶる量がいただける。卵の他にうまい魚の干物があればそれはまた最高である。