赤バイエル聞こえる窓に小鳥来る
ヒッヒッと鳴く鳥声が聞こえた。
あれは間違いなくジョウビタキである。
もうそんな季節かと晩秋の感慨に浸っていると、どこかのお宅からピアノ練習の音がもれてくる。
単純な音がたどたどしく聞こえるので、あれは初心者用バイエルであろうか。
調べてみると、子供の入門用は赤表紙と言って、片手で弾くことから始まる単純な音の連続である。初心者の域を脱すると黄表紙となって、両手で弾かねばならないのでだんだん難しくなる。
わが子も黄表紙までは進んでいたということだが、いつの間にかやめてしまった。
だがしかし、基礎が出来ていたので幼稚園では重宝されているらしい。
この稿を書いていたらたまたまニューヨークの街角ピアノの放送をやっていて、ピアノひとつできればいろんな国の人とも寸時に仲良くなれるのが楽しそうだった。引っ越しのときに古いピアノを廃棄してきたのだが、もし残してあれば呆け防止にピアノ練習できたのにと今さらながら悔やまれる。