消え方

捩り花刈られし芝にうながされ

年々あちこちに飛んでいる。

花が終わればいつの間にかほかの草に紛れて消えてしまうが、宿根草だけに根だけはしっかり残っているようで、次の年になるとしっかり顔をだしてくれていつものように人の気を引くのである。
終わった花をよく見ると、大きな種なのか種袋なのかしっかりつけていてこれが弾ければ他にもつぎつぎ飛ぶのであろう。
駐車場の雑草を始末するのに捩花も抜いてしまうにはしのびず、曇り模様のなかを移植することにした。
単独で植えてみたのは、花期が終わったあとどんな風に消えてゆくのか確かめたいこともある。さて。

いつの間にか消える

捩花の尺に足らざる背比べ
捩花に足が止まりてつぎつぎと
捩花の目線に屈む芝野かな

まるでど根性大根のように舗道の隙間に伸びている。

まわりを見ると、いくつも一直線の捩り花が穂を伸ばしている。
葉が出るのが遅いので、芝刈りや除草から免れたと思われるものが点々と散らばっているようだ。
この穂も先端まで巻き上がると、やがて穂が消え失せ、葉もいつの間にか姿を消している。いったい何のために生まれてきたのだろうかといつも不思議に思うばかりである。

ひ弱に見えて

芝生野に捩花避けて腹這ひぬ
捩花のあらかた踏まれゐし野道
捩花の錐揉む先のつぼみかな

捩花というのは一回踏まれてしまうと弱いものらしい。

茎と言うよりは錐の穂先に当たるのかもしれないが、途中で折れてしまったらその先は枯れてしまうようである。
ただでさえ短い命で、花が終わってしまうと何処にいたのかさえ分からなくなるような、雑草というには気の毒なくらいな儚げなので、見つけたら注意しているのだが。
ただ、このようにか弱く見えても、次の年にはまた顔を出して錐を伸ばしてくれるあたりは雑草の仲間に入れてもよさそうであるが。