心配症

土くれが指をこぼるる旱畑

待望の雨がきた。

一時間足らずだが雷をともなった本格的な雨だ。
あまりに土が硬くて秋の畝づくりが進まなかったが、これで一気に手をつけるチャンスだ。
土用の期間は土をいじるなとは古来の知恵だが気候が様変わりした現代では、では一体いつになったら手をつけたらいいのか、いつまでたっても土用のような天気ではメリハリもつけられない。
いまは畝の準備が整うまでに秋冬の苗の仕込みをする期間。ブロッコリーの種をまいたばかりだがすぐに発芽して、それはそれでいいのだがこれからは虫との闘いでもある。
貸し農園とはいえ百姓の心配症が身についてきたようだ。

地中だって暑い?

旱とて迷い出にける鼬鼠かな

朝、畑に入ると慌てたように逃げ去る小動物を見た。

どうやら鼬鼠のようだ。菜園仲間によると野ウサギなどもやって来るという話なので、べつに鼬鼠が居たって全然おかしくない。ただ、本来は夜行性であるのに陽がのぼってからも畑にいたということは、日照り続きで田の水も少なかったりして好物の蛙などが少なく行動範囲を広げているのかもしれない。
あるいは、土中に連絡路などを掘って隠れているのが、この暑さでトンネル内の温度が上がり、むしろ地上のほうが涼しくて快適だったのかもしれないが。

ところで、鼬鼠は冬の季語である。おそらく、あの毛皮ゆえのことだろうと思うのだが。