池の畔で

枯芒かたへ傾く風の道

絮もほとんど飛んだ芒が硬直した姿をさらしている。

池へ向かって風が通るらしく、みな池に傾いたままだ。枯れきっているので、少々の風くらいでは揺れる弾力性も失っているようだ。
やがて強い風が吹くと矢が折れたように朽ちていくのだろう。

絮のほどけて

枯尾花ここださはさは空を掃く
暴れ川いま茫漠と枯尾花
暴れ川肥沃もたらし枯尾花
砂利採って尽きぬ中洲の枯尾花
州にダンプシャベルカー来て枯尾花
ここよりは車入れず枯尾花
下り来て大河デルタの枯尾花
舟下り芒枯るるを見るばかり
草として枯れ馴染みゆく芒かな
草として生きた証の枯芒
草として栄えある名負ひ枯尾花
背広着て芒枯れたるやうな背

ふんばって靡いているようでも今にも千切れそうである。

一面の芒原の穂はすっかり飛ばされて骨と皮だけなのだが、意外に弾力は残していて少しの風にも反応している。
春を前に焼け野となればまた新しい芽を伸ばしてくれるだろう。