地が動く旬日残花散りにけり
しづ心なき目に見えぬ残花かな

今頃はどのあたりを走っているのだろう。

日本列島の桜前線である。
熊本地震からすでに一週間経過して、そのあいだ桜のことはすっかり頭の中から消えていた。
気がつけば、造幣局の「通り抜け」も、吉野の桜も終わっている。
残るは「残花」を楽しむことだが、これだってもうその時期は過ぎて、桜で言えば「余花」の季節を迎えようとする時候である。

甚大な被害をもたらした災害と「桜」とはあまりにも不似合いである。

強風に耐えて

大池に映ゆる残花の孤影かな

今日は北西寄りの風が強かった。

やや季節が遅いが「貝寄風」と言っていいくらい。もう少し早い時期だと「強東風」「荒東風」という季語もあるが、それとはやはり違う風だ。
大きな木が揺らされて、開き始めたばかりの若葉、若芽が今にもちぎれそうである。
そんな強風でも、しなやかに受けて頑張る桜の木があった。白い花びらだったので大島桜だろうか。一部の枝は花びらが落ちて蕊となっているのもあったが、その枝だけが赤みを帯びているのでよく目立つ。全体には枝振りがみごとで、強風でも花びらは簡単には散らされそうもない。あと2,3日くらいは楽しませてくれそうな気がする。

馬見丘陵公園のチューリップはすっかり開いて、客足もまばらになった。
次は新緑のまぶしさに目が移ることだろう。