鴨なりに

隠沼の影を濃くして浮寝かな

鴨にも静かな正月である。

いつもなら冬休み、正月休みには家族連れが押し寄せる公園も餌をばらまく人もおらず、めいめい固まっては昼寝中。
さらに、一日中日が当たらぬ沼にも、よくもあんなに寒々としたところがいいもんだと感心してしまうくらい、不思議にも毎年鴨が渡ってきては春まで過ごすグループがいる。障害物があるほうが外敵から身を守るには適しているかもしれない。
今年は鴨の種類が少ないのが気がかりだが、他にいいところがあるやもしれず、彼らなりになんとかやっているのだろう。

気を揉む

羽づくろひときどき潜き浮寝かな

今日は珍しいカイツブリを見た。

いつもの池にいるのは小型だが、今日のは鴨並の大きさで羽の色も首から胸、腹にかけて白っぽい。
鳥撮りのひとに尋ねると、カンムリカイツブリだと言う。
寝ているようでいて、ときどき羽繕いしたりしてはまた眠る、かと思うとちょっと潜ったりして、いまは一体何に没頭しているのやらよく分からない。
毎年やって来る水鳥もほぼ出揃って、あとは陸上の冬鳥たちの到来を待つばかりである。双眼鏡をもって散歩するにしても、まだ活躍の機会は少ない。早く来てくれないかと気を揉む毎日である。