溝蕎麦の水の交はるところまで
溝蕎麦の群れて水音やはらめる
玉藻橋は栢森、稲淵方面からの飛鳥川、祝戸のふぐり山からの湧き水、そして多武峰から流れ込む冬野川の合流点にある。
冬野川はとても小さな流れで飛鳥川の水量には及ばないが、川底は栗石が敷き詰められ大きな落差をもって飛鳥川に流れ込む。そのまさに落ちようかというあたりは流れもゆるやかで、祝戸橋の上から手が届きそうな場所にびっしりと溝蕎麦がおおっている。白い花のみごとな群落である。
観光客は玉藻橋やその先の稲淵などに気をとられて祝戸橋は見向きもされないが、その足もとには飛鳥らしい素朴な世界が広がっている。