祝戸橋

溝蕎麦の水の交はるところまで
溝蕎麦の群れて水音やはらめる

玉藻橋は栢森、稲淵方面からの飛鳥川、祝戸のふぐり山からの湧き水、そして多武峰から流れ込む冬野川の合流点にある。
冬野川はとても小さな流れで飛鳥川の水量には及ばないが、川底は栗石が敷き詰められ大きな落差をもって飛鳥川に流れ込む。そのまさに落ちようかというあたりは流れもゆるやかで、祝戸橋の上から手が届きそうな場所にびっしりと溝蕎麦がおおっている。白い花のみごとな群落である。
観光客は玉藻橋やその先の稲淵などに気をとられて祝戸橋は見向きもされないが、その足もとには飛鳥らしい素朴な世界が広がっている。

植生の効用

溝蕎麦の大河に注ぐところまで

信貴川というと大変立派な川のように聞こえるが、実際には小さな流れである。

信貴山の麓から大和川に注ぐまで、距離にするとわずか2,3キロ程度であるうえ、途中灌漑用にも溜められているので流れも細い。

大和川と言えばかつて汚染度全国ワーストワンだったが、生駒や奈良方面の住民の努力などで多少は改善されているがそれでもワーストファイブには入るだろう。原因は下水道普及率の低さである。
新しい住宅地では下水道も整備されてきてはいるが、いまだに汚水を直接川に流す家もあり、この信貴川も例外ではない。そのような一帯には悪臭も漂うが、大和川に注ぐ寸前にビオトープに誘導してこの水を濾過しているのが救いである。

さて、その信貴川であるが、決してきれいとは言えない川の両岸に、昨日の散歩で溝蕎麦が満開であるのを発見した。コンクリートで護岸された川にも土砂の堆積などがあると植生が芽生え、このような群落を形成するようになったのだろう。この群落も一種のビオトープと言え、何とか維持してもらいたいものだ。
こうした、ちょっとした工夫などが大和川の水質改善、保持に貢献するにちがいない。