第二弾

甘藷植ゑて雨の便りを待ちにけり

サツモイモの苗が高い。二十本千円くらいする。

二種類を育てたいのでこれはふところに響く。
そこで自前で苗作りを試みてみたのだが、これがまたなかなか難しい。第一に時間がかかりすぎる。冬の間に芽を出した藷を春先から初夏まで辛抱強く具合のいい長さに育てるまでが四〜五ヶ月。そのうえ、サツマイモは高温が大好きときているから素人菜園で環境を整えるのが一苦労である。
とりあえず、必要な長さに足りるまで成長できないまま第一弾として植えることにした。根づいてある程度つるが伸びてきたら必要な数だけさらにつるを切り取って第二弾ともくろんでいたのだが、これもなかなか思惑通りにはいかないものである。できるなら今月中には済ませたいのだが間に合いそうもない。
結局、不足分を買うことになって今日挿してみたのだが、約四ヶ月、秋の収穫まで厳しい熱さを乗りきらねばならず心配の種は尽きそうにない。

あれもこれもは

藷植うに遅れとらざる嫗かな

直角に近い角度に腰が曲がっている。

歳はとうに80歳は超えているように見えるが、馴れた手つきで苗を埋め込んでいく動作には一定のリズムがありまだまだご健在の様子である。
またたく間に一畝植え終わると、乾燥除けの藁を敷き、最後には水やりして短時間の間に作業が終了した。

この季節苗屋に行くと色んな種類の藷苗が並んでいる。見るとたいがいが萎びているが意外に強いようで、畑に挿した後水さえきちんとやれば一週間もしないうちに根付くという。見ればあれもこれも植えたいと思うが、場所に限りがあるのが残念だ。