快い汗

ステンレス鍬の安物緑さす

本の数メートルの一畝耕しただけで汗が吹き出す。

だがさいわいに風は涼やかである。しばらく当たっていると汗もすうっと引いてゆく。30度近いとはいえ新緑の季節である。
しばらくは心地いい汗にまみれるのいいものだ。

飛火野点景

飛火野の画布一脚に緑さす
緑なす大樹の陰の画布まさら

飛火野は広い芝生広場。

大楠の大樹が真ん中にでんと座を占めている。明治天皇が休まれた御座所跡に植樹された木だという。
この大きい光景をまた別の大きな木の下にキャンバスを立てて描こうとする人がいた。
夏の暑い日、平日の正午近くともなると人気もなくて、一人の画家とわずかな鹿がたむろするだけ。
緑陰にたてたキャンバスはまだ何も描かれてなかった。