桜の井一夜で埋む芥かな
古井戸に降り敷く花の吹雪かな
桜井の井に花散りぬ花の散る
落花掃く人の未だに来たるなし
落花掃く能はぬなりし雨やまず
庭掃くを躊躇ひをりて花の散る
桜井駅を南に向け出発すると10分も行かないうちにそれはあった。
「櫻の井」跡。
夜来の春嵐で井戸に懸かる桜が一面に花を落とし、いわれが彫られた石碑も例外なく散った花びらをまとっている。
5世紀初頭第17代履中天皇がこの地においでになって、桜の花が散りかかるこの井戸の水を賛美されたということから「櫻の井」と呼ばれている。