高麗山の落花せかする雨一夜
思いもかけない訃報が届いた。
それも、亡くなって一年後である。
コロナ禍もあってご遺族は広くお声をかけるのを避けられたのだろう。
友人がたまたま演奏会の案内を出したところ、ご遺族から丁重な返信があったのだと。
大学の同級生であり、男声合唱団の仲間であり、しかも二浪というところまで共通の、テナーの声がよく通る優男。
長年住み馴れた横浜を引き払い、余生を大磯・高麗山の邸宅で穏やかに過ごしておられるとばかり思っていたのだが、互いに賀状出さなくなって半ば音信不通状態のまま。コロナ禍が収まればまたいつでも会えるとばかり思っていたのに。
昨年の花の盛りにこの世を去ったS君に捧げる句である。