花期が長い

花芙蓉茶巾絞りの酔ひの果て

酔芙蓉は一日花だという。

では、咲いた後はどうなるかというと、翌日あるいは翌々日にかけてちょうど茶巾絞りの菓子のように丸く縮まってゆく。
一本の木から相当の数が何日もかけて咲く、わりに花期がながい花でもある。
もうすでに終盤に入ったが、まだ楽しめる。

やがて、金木犀の香りが漂う頃にはいつの間にか終わっているという具合である。

酔い痴れる

介抱に及ばず候酔芙蓉
こんなにも痴れてしまうて酔芙蓉
酔芙蓉知るや知らずや明日のなき

橘寺の酔芙蓉

さながらに白磁玉杯花芙蓉
花芙蓉杯の底まで陰りなく

橘寺の芙蓉
牡丹と芙蓉、ともに花の女王であろう。

両者とも豪華という点では一致するが、芙蓉は一日花であるだけに、一瞬の輝き、陰りをも楽しめればなお趣は深いものがある。
今回は盛りにはまだ早いという時期に訪ねたので、その新鮮さはまた一入であった。掲載の白芙蓉の輝きを見てもらいたい。ちょうど正午頃だったと思うが、強い日差しに負けず花弁はまるで咲き始めたばかりのように瑞々しい。