似たものどうし

さまようて銀の道筋蛞蝓

ナメクジの季節となった。

庭のものをめくると出てくる出てくる。
だんご虫やらなめくじ。
シロアリでないのが幸いではあるが。
同じ仲間の蝸牛は木の幹を這ったり地上より高いところにいるが、ナメクジは大地にしっかりしがみついて這い回るのが性分である。ところかまわず這い回ったあとは、晴れた日など日に青く光っていさえもする。足跡をたどると狭いところをぐるぐる徘徊したり、その足跡にはおよそ目的というものを感じない。かれらの行動には何らかの意味があり行き当たりばったりというわけではないだろうが、ずいぶん遠回りな人生を歩んでいるではないか。
人もまた一直線に生きるというのはむずかしく、あっちへよろよろこっちへよろよろしているのであるから似たようなものでもあるか。

感触

蛞蝓にふれし指先いとひけり

箱をもった瞬間ひんやりしたものに触れた。

ぬめっとした感触はかたつむりのものである。
すぐに洗い流したが、その気味悪さはなかなか去らなかった。

軟体動物

家持たぬ身は軽からめなめくじら

入梅とともにわっと湧いてきた。

壁、タイル、いたるところを這いずり回っている。
なめくじはゆっくりと動くように見えて実は速いのだ。
みぃーちゃんの食べ残しの餌入れをちょっとのあいだ放置しておくだけで、敵はちゃっかり群がっている。臭いに引き寄せられるのかどうか知らないが、食えるものへの反応として驚くばかりである。
蝸牛ならばこれほど嫌悪感がないのだが、いかにも軟体動物らしき全身をぬめぬめさせて光り輝くさまを見せつけられると触れるのも汚らわしくなる。
軟体動物でも高価なものがサザエ。これなど、切り刻んでしまえば生だって平気だし、熱を加えれば腸付きの全身をぺろっといただくのも何ともないというのは不思議である。

嫌われ者

雨の朝一夜明くれば蛞蝓
行く当てのどこかありそに蛞蝓

たったひと夜でこんなになめくじが湧いてくるなんて。

朝起きたら雨で空気がすっかり湿っていて、今までどこに隠れていたのかと驚くくらいの数がいる。
最近孵ったばかりとみえてどれもみな小さい。
新聞を取りに行こうとして気づかず踏んづけてしまったようで、あしもとにつぶれた形跡がある。
ちょっと気持ち悪い。