三頭

もつれてはまたちりぢりに昼の蝶

今年は蝶が多く飛ぶ年かもしれない。

昨秋はどういうわけか蝶が少なくて作物の被害が目立たなくておおいに助かったものだ。
冬野菜が薹立ちの時期を迎えてすかさずやってくるところをみると、冒頭のように今年は蝶の当たり年の予感がただよう。
春先の蝶だから動きも俊敏で、三頭がやってきたと思ったらそのうち二頭がもつれ、すぐさまそれぞれに散っていった。いかにもコミュニケーションを取ってますよと言わんばかりである。

菜の花畑

白と黄の蝶の縺れる昼下がり

珍しいものを見た。

白と黄の蝶々がもつれるようにとんできては菜の花に寄ったり。
はじめはまさかのカップルだと驚いたが、どうやらそうではなくてやがてまた別々の方向へ消えていった。
白菜畑はいまは菜の花盛り。摘んでも摘んでも次から次へと伸びてくる。毎日のように天麩羅やお浸しでいただいているが甘さがのってうまいものである。
菜花は白菜が一番うまいとは聞いていたが納得である。

風が出て

たんぽぽにいたく執心蝶一羽

一頭の蝶がタンポポの花に動かない。

午前中風がないせいか、白や黄だのの蝶の乱舞に驚いた。一気に暖かくなっていっせいに活性化したのであろうが、菜園のまわりは蝶、蝶である。
そのなかでも目を引いたのは一羽の黄蝶。咲いたばかりとみえるタンポポの蜜が気に入ったのか、他の蝶がとまろうとしても動く気配はない。今日は蝶に元気をもらって、何もやることがない菜園でただ漠然、ぼんやりと過ごす時間が心地よかった。
一時間以上いたろうか、気づけば風が出てきて先ほどあれほどいた蝶が姿を消してしまった。それを合図に帰ることとなった。

我を忘れて

蝶二頭こんがらがりて空高く

揚羽の番のようである。

目の前でらせん状にもつれながらどんどん上昇してゆく。
天敵に遭遇する危険おかしてまで、いったいどこまで上がるのだろうか。
電線を越えてさらに高く遠くに流れていった。
柚子の葉っぱをみたら既に2センチほどに育った幼虫が二匹。またはげになるかもしれないが、どうぞ召しませ。

穀雨の頃

爪ほどの翅野の花に蝶たたむ

しじみ蝶というのだろうか。

ごく小さな蝶が、これもまたごく小さな野の花に翅をたたんでしばらく動かない。
揚羽蝶、これは夏の季語、時期的にまだ小さいが、これも飛び始めて、山椒の若芽や蜜柑の若葉のまわりを周回している。
はやくも卵を産みつけているようで、孵ったばかりの小さな幼虫が葉にしがみついているのもいる。
庭は、これからゴールデンウィークにかけて、雑草取りやら植え付けやら、なにかと忙しい。