もつれた謎を解く

金縷梅を見て道行きの半ばなる

春真っ先に咲くから「まんさく」だという。

なるほど、たしかにいつもの散歩道に早くから咲いていたが、今年は暖冬のせいか三椏、山茱萸など他に黄色い花を咲かせる木も同じくらい早く咲き始めたので目立たなくなってしまった。
この時期の落葉樹はほとんど枯れて木ばかりなので、黄色い花を見つけてはつど近寄って手にとって眺めるのが楽しい。
まるでマンサクの花のように心がほぐれる時間である。
山茱萸も三椏ももっと小さいので、金の糸がこんがらっているマンサクは少々派手にも見える。
もうしばらくは楽しめそうである。

手品師

糸ほどく気配のみえて金縷梅

まるで手品師の仕掛けを見るようである。

冬の間はあれほど小さくて固かった花芽がふっくらとしてきた。あのなかに糸をまきまきしているのだ。それを一斉にほどいて万作独特の形の花が飛び出すのだ。
もう少し経過を見ていこうと思う。

まんず咲く

まんさくの金糸こぼるる土塀かな

金縷梅が咲くのはこんな時期だったんだなあと改めて思った。

関東であまり目につく機会が少なかったので、当地で初めて見たときは何とも不思議な花が咲くもんだと感心していたら、実は名前の由来が『早春に咲くことから、「まず咲く」「まんずさく」が東北地方で訛ったもの』から来ているそうで、関東では気づかなかっただけのようだ。むしろ、当時には俳句にも興味もなく、何処に行くのも車で、まして寒い早春に街を出歩くことなどほとんどなかったのだから当然ともいえるが。
当地では、寒牡丹で有名な當麻の石光寺で見たのが初めてだったと記憶している。その時には、三椏の木も間近で見ることができた。

俳句というものに出会って以来、いろいろ知ることもありその奥深さもまた底の知れないものに見えてくるが、明日は、大阪・堺の例会に初めて参加する予定である。吟行ではなく兼題と席題が出される会なのでちと苦手だが、佳句に触れるチャンスなのである。

さきがけ

足はこぶ気温にあらず金縷梅

石光寺では猫柳に気を取られていて、そのすぐ隣にある黄色の花は蝋梅だとばかり思っていた。

それにしては色が濃いぞとよくよく見れば、こりゃ明らかに蝋梅ではない。
金縷梅(きんるばい、まんさくの一種)といって、ここのは日本固有種ではないらしい。
まんさくは春の初めに咲くので「まずさく」が訛ったというが。

今日は寒が戻ったようで雪がちらちら飛んでくるし、金縷梅を見るために石光寺に行こうとはとても思えない。