光仁会

笹酒を注ぐたすきや雪催

夕刻黒い雲が通った。

寒気が降りてくるというので空気も緊張するようにぴりぴりと感じる。
明日早く病院の予約があるので、念のため雪タイヤに交換となったが悴む手をなだめながらどうにか午前中に終えることができた。
その一年でもっとも寒い時期の今日23日、南都七大寺のひとつで一時期東大寺、興福寺と並ぶ大寺であった大安寺で毎年笹酒祭が行われる。
光仁会といって桓武の先帝である光仁の一周忌に営んだ故事にならって行われる行事。
称徳亡き後天武系が途絶え、天智系の光仁が皇位についたわけだが、若い頃複雑な立場であることから酒に逃げていたと言われ、大安寺詣での折り、笹竹から酒を注いで興じたことにちなむ行事である。和服姿に襷掛けの女性から注いでもらい、長寿であった天皇にちなみ「癌封じ」のご利益があるとされる。
今は往時の勢いを失った寺で、南都の南部にあって交通の不便な場所にあるので訪れる人も多くはないが、この日ばかりは寒風をついて善男善女が集まる。

面会不可

病棟へ妻を届ける雪催

面会不可と言っても病棟のエレベータエリアまで許される。

荷物はそこで看護師を呼び託すことになる。
今日から約一週間のやもめ暮らしである。
初日は無難にきんぴら牛蒡やらサワラの西京焼きやら、味噌汁もうまくできた。
猫どもも相方がいない夜は調子狂うのか、おとなしくしている。
室温は15度を切っているが体を動かしているせいか寒くはない。
あとは風呂に浸かって寝るだけだ。

チェーンの用意は

スタンドの店員あふぐ雪催

明日未明から明後日にかけて雪かもという。

今日の夕、外へ出てみたが雪が降りそうな気温からはほど遠く、むしろ温かいくらい。
これで本当に雪が降るのだろうか。
今年はまだ一度も雪を見てないので、雪よ来い来いと待ちわびているのだが、それも非雪国の脳天気ゆえのことである。
実際に、積もるほど降ればたちまち交通が乱れ、車に頼る日常もおおきく影響を受けかねないのだ。

雪が積もればチェーンや冬タイヤの販売、交換で大忙しのガソリンスタンドだけに、関係者にとっては大いに気になるところ。明日は掲句のようなシーンが見られるだろうか。