畏れる

注意報出ていて雪崩の眼前に
二次災害恐れ雪崩にヘリ飛ばず
ゲレンデのコース刳りて雪崩落つ

表層雪崩ということらしい。

いったん緩んだ雪が戻り寒波で凍り、そこへ新雪が積もったのが滑ったのではないかと。
春の雪崩のパターンに多いという。
しかし、それがゲレンデのすぐ上に発生するとは、山のベテランでさえ見抜けなかったようだ。
秋田のマタギの言い伝えでは、「寒30日の間は絶対に豆を煎ってはならない」という言い伝えがあったそうである。豆のはじける響きで雪が裂け、雪崩が起きかねかいという戒めからである。それほど、雪崩は恐れられてきたと言うことであり、そのために昔から人が山に入るときは、必ず山の神に手を合わせていたのだ。
「自然を畏れる」ことを忘れかけている現代人への強烈なしっぺ返しであろう。
犠牲となった若者たちにはまことに気の毒というほかない。

春の号砲

杣の耳そばだて夜半の遠雪崩

雪崩は春が近い印である。

来週あたり3月下旬から4月上旬のような暖かさになるという。
気温が一気に上がり雪崩が起こりやすくなる。木をなぎ倒し、谷の大きな石をも転がす、恐ろしい力があるいっぽうで、今まで人を寄せ付けなかった山にアプローチできるきっかけをもたらす。
山に生きる人にとっては待ちに待った、言わば「山明け」の号砲とも言える。