腹出しの子は昔日か鳥雲に
巨星墜つ。
現代俳句の旗手金子兜太が亡くなったという。
死ぬまで俳句界を率いて巨大な足跡を残してきた人だが、代表句の一つに、
曼珠沙華どれも腹出し秩父の子
がある。
野山を走り回る田舎の子の逞しさを謳い、曼珠沙華の生命力に自分を重ねた句と言われるが、これなどは誰もが理解できる素朴な部類に入るほうで、なかには難解な句も多くてそれが私には印象に強く残る人である。
先々週だったか、やはり俳人の大峯あきらも亡くなり、俳壇も寂しいかぎりだが、俳句人口の裾野を広げること、若い才能の台頭が待たれている。