一つの時代の終わりか

腹出しの子は昔日か鳥雲に

巨星墜つ。

現代俳句の旗手金子兜太が亡くなったという。
死ぬまで俳句界を率いて巨大な足跡を残してきた人だが、代表句の一つに、

曼珠沙華どれも腹出し秩父の子

がある。
野山を走り回る田舎の子の逞しさを謳い、曼珠沙華の生命力に自分を重ねた句と言われるが、これなどは誰もが理解できる素朴な部類に入るほうで、なかには難解な句も多くてそれが私には印象に強く残る人である。
先々週だったか、やはり俳人の大峯あきらも亡くなり、俳壇も寂しいかぎりだが、俳句人口の裾野を広げること、若い才能の台頭が待たれている。

青函トンネルを行き来する

新幹線蝦夷へ貫き鳥雲に

26日に北海道新幹線が開通した。

青函トンネル工事に関わった人をはじめ、この日を長い間待ちわびた人々にとっては、感無量のものがあるにちがいない。
ただ、東京から函館まで4時間少々という時間を考えると、すぐさま飛行機便に取って代わるということも考えにくく、空と陸とで客の奪い合いになるにちがいない。
だから、遠くの客を呼ぶという観光の側面にとどまらず、海峡を距てた青函地域の経済や生活を含めた活性化という視点も加えた利用が望ましいだろう。

自分なら、青森、函館周遊券があれば便利だなあと思うけど。今までは、青森までの周遊券というのはあったけど、函館を含めたものが無かったから。

鳥たちの銀座通り

をりふしに仰ぐ峰々鳥雲に

ここのところ、朝のうちはシルエットがクリアである。

高見山から西に振って二上山に達する山々である。
ところが、気温も上がってくると、さすが奥の八経ヶ岳あたりが霞んで隠れてしまうこともある。
奈良気象台では毎日「視程」を目視で観測しているが、かく言う小生も毎日のように「視程」を観測しておるようなものである。

北へ帰る鳥たちはあの峰々を越えていくのだろうが、同じように南からやって来た鳥たちの通過する山々である。おそらくは中央構造線沿いに行き来するのが最も最短で、かつ安全なのではなかろうかと推測できるがどうだろうか。