奈良町の蔵元

うかと出て師走の街は定休日
蔵元とあつて酒粕完売す

奈良町の名だたる観光名所が定休の月曜、ある路地に小さな酒蔵が営業していた。

奈良町のど真ん中ゆえ、まさかここで酒を造っているとは思わなかったのだが、路地に面した格子には「新酒出来ました」だの「酒粕年内分の予約完了」の貼り紙がしてある。
酒造りというのは注文を受けてから始めるのではないので、あらかじめ決めていた計画に従って仕込んでいくのだろうから、人気があるからといって急な増産には応じられないのは当たり前だが、その酒粕が予約販売されていて、しかもそれがひと月も前に完売というのだから、よほどここの酒粕を気に入っている客が多いのだろう。

酒が飲めず、どちらかと言えば苦手な家人なので、滅多に粕汁や酒粕鍋にお目にかかることがないが、冬ともなると焼いてほくほくのこいつを、砂糖をまぶしておやつ代わりに食べた昔が懐かしく思い出された。

補)あとで調べたら醸造元は春鹿というものらしい。
ホームページにある醸造元がオーナーの「今西家書院」というのが隣地にあって、室町初期の書院造りという重文らしいが、ここも月曜日は定休。
急ぎ句会場へ向かう途中でゆっくり拝見できなかった蔵元や書院は、また別の機会に再訪してみよう。

“奈良町の蔵元” への2件の返信

  1. そうですね、となりが酒屋さんだったので子どもの頃、板状の酒粕を火鉢であぶって食べた記憶があります。
    またその酒粕で母はよく甘酒を作ってくれました。

    長じてはたまに石狩鍋に使うくらいでめったに出番はなくなりましたが・・・

    1. 日本が世界に誇る発酵食品だし、効能がいかにもありそうです。もっといろいろな利用方法があっていいと思うんですが、どうでしょうか。
      「手もよく動くが、口もよく動く」飲兵衛な京都の料理の先生ならアイデアがいろいろ期待できるかも。

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