巡礼

大和路の巡礼期する小六月

大和の十一面観音さま八体、合わせて八十八面観音巡礼の手始めが室生寺だった。

残りは長谷寺、聖林寺、西大寺、海龍王寺、法華寺、大安寺、法輪寺、いずれも著名な古刹。すでに長谷寺、法輪寺は参っているので残り五つであるが、次は聖林寺にしようと思う。和辻が賞賛した国宝第一号指定の仏さんという点に惹かれるものもあるが、数奇な運命をたどった聖林寺十一面観音さんとは因縁話があるからだ。
というのは、聖林寺の十一面観音さんというのはこのたび母がお世話になった三輪山平等寺に元々あったもので、明治の廃仏毀釈のあおりを受けて寺が徹底的に破壊された際打ち捨てられているのを聖林寺さんの住職に拾われ今日に至っているからだ。明治維新の馬鹿げた熱気を受けてガラクタ同然の扱いを受けたものが、米国人フェノローサによって一転至宝としての価値を認められたというのは強烈な皮肉話だが、そういう因縁も含めて急に身近に感じるようになった。
平等寺さんの十一面観音さんはレプリカであるが、暖かい日に本物に御対面させていただこう。

“巡礼” への6件の返信

  1. 聖林寺の十一面観音さんのお話は実に数奇な内容ですね。
    廃仏毀釈令により棄てられた観音さんを聖林寺さんの住職さんが救ったというエピソードはすばらしいですよ。当時の世相からすれば、それこそ官憲から睨まれかねないところを、大変勇気のある行動ですね。
    でもこのお陰で、国宝第一号指定の仏さんになったのですからね。もしこの住職さんとの出会いがなかったなら、と考えると奇跡に近いですよね。

    1. この時期は仏像のみならず絵画など多くの美術品が海外に流出してしまったのは残念なことですが、海外で大事に守られてきただけ良かったとも言えますね。

  2. 小六月という言葉あるのですね。思い出させてもらいました。

    奈良検に向けて着々と実地検分を進めておられますね。私ら行ってもただ何となく見てくるだけですからそれじゃダメですね。きちんと由来を勉強しておく、偉いと思います。

     11 X 8 で 88面ですか。面白いですね。

    1. 「大和路 秀麗 八十八面観音巡礼」というのはあの手この手で観光客を迎えようという作戦の一環でしょうね。それを承知で乗るというのもありだと思いますけど。

  3. 大和路の「古寺巡礼」いいですね。
    歴史や背景を知れば興味も深まるでしょう。
    身近な所を歴史散策、古寺巡りができるなんて素晴らしいです。

    窓から見上げる堤の桜紅葉が陽に映えて真っ赤に燃えています。
    最後の輝きでしょうか、飛び散らう落ち葉となって裸木になるのも間近でしょう。
    来春に備えて間もなく静かに眠りに入るのでしょう・・・

    1. ずいぶん古くに和辻、亀井などの「古寺巡礼」を読みましたが、内容はすっかり忘れていて再び読んだりしています。実際に訪問してこの目で見る見ないでずいぶん違うものだと感じていますので、これからもせっせと足を運びたいものです。

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