大綿の径に沿ふもの沿はぬもの
綿虫をついと飲み込む滾りかな
「大綿」は初冬の季題。
綿をまとった羽虫のように変化して、空中を浮遊して交尾し産卵したらまもなく死滅するという。別名「綿虫」ともいう。カゲロウ以上にはかない生き物だが、雪国などでは雪が舞う頃に見られることから「雪虫」とも呼ばれている。
先日、ある俳句ブログで綿虫が見られたという記事があったので、さっそくその現場・斑鳩に行ってみた。夕日に透けて光るのが発見できたので帽子でそっと掬ってみる。人の体温でも死んでしまうほど恐るべき虚弱な生き物だから、そっと包むようにである。
雪虫という名はついているが、よく見るとその綿の部分はいくぶん青味を帯びて帽子の中でじっとしている。しばらく観察してから放してやったものの、あのまま儚くなってなってしまったのではないかと今反省している。
数日後、いつもの散歩コースでゆらゆら舞うものを発見したので追っかけてみたら、農業用水の落ちこむところに来てふいに消えてしまった。急流のまき起こす風にでも巻き込まれてしまったのだろうか。
この2週間頭から去らなかった今月の兼題。投句締めきり日につき。
綿虫がどんなものかわからなかったのですが、最近買った「読んでわかる俳句 日本の歳時記 冬・新年」に写真があったので理解できました。
ほんとうに体部分に綿を着ているようですね。これがふわっと漂うように飛ぶのでしょうか?
見たことがない(気に留めていなかった)のですが、面白い季題ですね。
これが兼題だと苦しみますね。
最近、発句は古歌に似通ったところがあるなと思うようになりました。
そのかみに想像たくましく歌枕を詠んだように、与えられた季題(NHK俳句の小澤さんが先週力説した季語との違いを大変興味深く見ました)を一定のルールで取り組むにも自由な想像、発想が必要なところなど。
とは言え、やはり実際に自分の目で見たことがあるとないのでは大きな違い。ぜひ気に留めて探してみてください。きっと見つかると思いますよ。
来週までには「冬耕」「帰り花」を詠まねばいけません。次から次へと難題がふりかかります(笑)