雲の動くとき

凍雲の底を切り裂く日矢太き

厚い雲が割れて日がさした。

まるで雲の底が抜けたみたいに、そこからいく筋かの日差しがこぼれる。日矢だ。やがて底の縁が金色に輝きだすと、耳成の辺り、大和の盆地の一角がいっぺんに明るくなった。
そのうちみるみる厚い雲が動き出して、どの雲にも夕日があたり夕焼け模様を描き出した。

宇陀の榛原からの帰りの光景だ。

“雲の動くとき” への6件の返信

  1. 良い句ですね。その場に居合わせなくてもその時の光景がはっきりと見えます。
    この寒さの中、太い光の矢はありがたいですね。句全体から力強さが伝わってきます。

    1. ありがとうございます。
      最近はあまり調子が出ないので、褒められるとうれしいです。
      「雲の底を切り抜く」という表現は、属する結社ではよほどうまく使わない限りかんたんに認めてくれないと思いますので、推敲も必要だと思います。

  2. 鉛色の空を眺める日が多い中、このように雲が切れて光の束が見られる光景は貴重ですね。
    気持までがほっこり温まります。

    1. 夕焼けも加わったので雲が切れだした光景はいろいろ変化があって面白いと思いました。
      白い雲でも上空で雪崩れるように時雨れてるのも見えましたしね。珍しい雲の姿でした。

  3. 凍雲というんですか。一度使ってみたい季語ですねぇ。関東では雲一つない冬晴れが多いのでめったにお目にかかれませんけどね。

    1. 「凍」「寒」「冴」というのは感覚的な響きがあります。ですから、たとえ凍っていなくても凍ったように思えれば使えばいいと思います。「凍雲」は季題にもあって、雲が重なり合って動かないような感じの時に使います。ぜひチャレンジしてみてください。
      一転して今日は春のような空です。大峰の山々が霞んで見えます。

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