柿供養併せ大和の十夜かな
「十夜」という題が出された。
浄土宗寺院で行われる十夜念仏法会のことであるが、見学の経験がないとなかなか難しい題である。
関東では鎌倉光明寺、関西では真如堂がよく知られているが、近くでないか調べてみたら奈良市内に厄除け観音としても知られる慈眼寺というところで一昨日の14日に行われたとある。
この慈眼寺では樹齢四百年の柿があって、十夜と併せて柿供養も行われるのが珍しいというかいかにも奈良らしいなと思わせる。
ところで、十夜と言いながら、このように短縮して一日で済ませてしまうこともあるのも不思議で、浄土宗ホームページに当たってみると合点がいく。
歳時記の例や普通詠まれる十夜の句というのは、やはり夜おそくまで続けられる法要の一場面を切りとるものが大半なので、ちょっと毛色の違った十夜句と言えるかも知れない。
浄土宗のHP見せていただきました。「お十夜」ですか。季語になってるのだから一般的な言葉なんでしょうが普通の現代人には馴染のない行事ですね。
源氏物語では法華経を講じる法会のことが繰り返し出てきます。先だった者の追善供養、仏教は人の心に安らぎをもたらす大事なものだったのでしょう。
俳人はこの十夜が好きで、色んな人が詠んでます。
やはり関西優勢と言った季題でしょうか。
源氏物語では法華八講のことは何度か出てきますね。
藤壺、源氏、紫の上、女三の宮など。とくに藤壺の場合結願の日に周囲をあっと言わせる出家など、ドラマチックです。
かなり大がかりなので権力者でないと催すことはできなかったと思われます。
俳句の世界では春先の「比良八講」が季題になってます。
以前、ためいき会のメンバーの誰かが、「お十夜」を詠んだ句を出されていましたよね。誰だったのかは忘れてしまいましたが・・
その時調べたことを思い出しました。
忙しい現代では一夜になってもしかたないのでしょうね。
時代に合わせて変化しながらも、根本が変わらなければ良しとしましょう。
去年11月の拙作です。本物の十夜は想像だけで詠むのはなかなか難しいものです。