がらり戸にリースの町家はや師走
洒落た町家があった。
見た目は町家だが、なかは建築事務所とある。
おそらく町の景観に溶け込むような意匠にした建築事務所兼自宅なのであろう。
通りに面した部分が車庫、その奥が前庭風、これを和風の格子戸風扉でカバーしている。日常の出入り口となっているのが脇のがらり戸らしい。
がらり戸とその奥はきれいに掃かれていて、住む人の感性を思わせる佇まいだ。
建物も町家風だが、がらり戸の格子にはクリスマス用とも思われるバラのリースが早くもかけられて、まだ師走の街騒が感じられない奈良町にあってここだけは歳晩風景を醸し出している。
廃家となって取り壊される町家も見られるが、旧の風情を残した新しい袋に新しい酒が醸されているのも奈良町の今日である。
玄関はその家の顔。
散歩中思わず惚れ惚れする佇まいに立ち止まって眺めることがたまにある。
豪邸よりも小じんまりした家に見られることが多い。
狭いなりに庭や空間に工夫が見られ建て主の心意気がしのばれる。
早いものであっという間に歳晩。
あれから一年、源氏の旅が思い出されます。
昨年の今日は冷たい雨の日で長谷寺を案内していただきました。
海柘榴市、二本の杉を思い出しています。
こぢんまりとして洒落たお家というのは全般にこざっぱりもしてますね。
無駄な飾りを廃して、シンプルな中に粋を演出する。
それが日本文化の特徴と言えるかも。
そう言えば、長谷寺は小雨模様でした。今日は強風でドアが押されるほどです。
長谷寺は行くたびに色んな顔を見せてくれます。
次回はぜひ牡丹の派手やかな頃にお出でください。