取り分けて訛聞かせてきりたんぽ
黄金の田が一面に広がる頃決まって思い出す。
秋田路へは小町出身地と言われる雄勝町に入ったときのことだ。
おりしも盆地はどこまでも黄金色で、国道沿いには深紅の林檎が薄く粉を掃いたように鈴生りになっている。まさしく豊の秋であるが、その夜は角館の宿に一泊。
比内鶏、そして天然の舞茸を使った本場の豪勢なきりたんぽに舌鼓を打った。
小皿に取り分けてくれる仲居さんは、鍋の蘊蓄やら秋田音頭にでてくる秋田名物やらの話を訛たっぷりに面白おかしく聞かせて実に愉しい一夜。
仕事で出かけたのでのんびりという風にはいかなかったが、その夜のことは一生忘れられない旅の記憶につながっている。
掲句は、兼題「きりたんぽ」で今日の句会に出句したものの一部。
秋田と言えば小町ゆかりの秋田美人。秋田新幹線「こまち」は一部単線を走っています。
そしてきりたんぽにハタハタ、比内鶏と名物にも事欠きません。
私は冬の真っ最中、男鹿半島へ桜の季節に角館へ行ったことがります。
とりわけ印象に残っているのがきりたんぽ鍋と男鹿の名物石焼鍋です。
石焼鍋はお櫃の中に入った魚介類の中に真っ赤に焼いた石を美人女将が入れてくれる豪快な味噌仕立ての料理です。
真冬の秋田では体も心もあったまる郷土料理、懐かしいな~
旅の思い出は何と言っても食べ物。その土地でしか食べられないものが出てきて、それが旅愁とあいまってまた旨い。
石焼鍋は画像でしかみたことありませんが、音まで聞こえてきそうです。